フォトグラファー・シバノジョシアのブログ写真展。ICELANDのミュージシャン&音楽・レイキャヴィクの街・自然の写真を中心に、旅行・旅先でのスナップや日々のつれづれなどをアップしています。
★今年の文学新人賞を受賞、アイスランド産ファンタジー小説『カラスの目』紹介

iceland_etc_0076a.jpg



今回のブログはここの所続いた音楽フェスの話題から離れて、
アイスランド国内の文学賞で2012の新人賞を受賞した
『Hrafnsauga』をご紹介します。

一枚目の写真は著者の一人Snaebjyorn Brynjarsson(以下、スナイ君)。

偶然、シバノが帰国直前に彼の処女作が出版され、さらに新人賞まで
受賞したというので、一緒に本屋に行った際に色々と話を聞いてきました。

ちなみに、この本はKjartan Yngvi Björnssonさんとの共同執筆。
二人は10代の頃からの友人で、今回の本はそれぞれがパート分け
して書いた章を最終的にお互いが校正しあって一つの本として整合性
をとるような形で作業したとの事。

個人的に『ロード・オブ・ザ・リング』をはじめとするファンタジーは
ゲーム・小説とジャンルを問わず好きなので、アイスランド産の
純ファンタジー小説ときいてとても興味があったので、ぜひご紹介
したいなと。

今回はスナイ君一人のインタビュー。


iceland_etc_0076b.jpg



まず、タイトルの『Hrafnsauga』は直訳で『カラスの目』。

Hrafn=カラス
s=の
auga=目

との事。それに副題の『3つの世界の物語』がついてます。
表紙の装丁に描かれたキメラっぽいのはラスボスでしょうか…。

小説のあらすじは−

その昔、この世界で大きな魔法戦争があり多くの犠牲が出た。
それ以来、魔法は禁止され、それから数百年…。

辺境の村に住む出生のわからない少年ラグナルは、村の人たちに
育てられ幼馴染のシリアやブレッキと平穏な日々を送っていた。

しかし、彼は生まれつき魔法を操る力を宿しており、
禁忌の術ゆえ村人には知られぬようその力を封じて過ごしている。

そんなある日、村は突如現れた魔物に襲われ壊滅してしまう。
命がけで逃げ出したラグナル達は、災厄の原因を突き止めるため
長い旅に出たのであった。


すみません…つたない要約で著者に大変申し訳ないのですが、
導入はこのような雰囲気のようです♪さらに、『3つの世界』という
サブタイトルの通り、そのあたりが物語に深く関わってくるとの事。

もともと欧米産のファンタジーに影響を強く受けた和製RPGの
「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」に慣れ親しんだ
日本人ならとてもなじみ深い冒頭ですよね〜。

しかも、キャラクターの設定をもう少し詳しくきいたところ

・ラグナル(主人公・男性)禁止された魔法の力を生まれながらに使える。
自分に自信がなく、シャイな人物。生い立ちのせいかあまり人に優しく
なれない所も。

・シリア(女性)主人公の幼馴染、彼女の祖父は村の自警団のリーダー。

・ブレッキ(男性)主人公の幼馴染、にぎやかなムードメーカー。
弓の扱いに長けている。

さらに、もう一人一緒に冒険する事になる仲間が

・ナヌーク(流れ者)呪いをかけられたせいで自分の意思とは関係なく
熊の姿になってしまう事がある。ある事をきっかけにラグナル達に
同行する事に。

うーん、ゲームズキには痺れる設定♪

魔法で世界が滅ぶあたりはFF6かなーとか、主人公たちの恋愛模様
とかはあまり描かれなくて、冒険譚として描いていると聞くとFF3っぽいの
かなーとか(ゲームやってない人すみません)。

後は、主人公の使う魔法が少し変わってまして、
そのあたりも小説を読むうえでは展開が気になりそう。

ここまで、きくと和製RPGや指輪物語、ハリー・ポッター等々、
日本で触れられるファンタジーは多数あるので設定そのものは
慣れしたしんだ印象もありますが、この後スナイ君が語った事が
この小説のオリジナリティというか、肝のようです。


iceland_etc_0076c.jpg



こちら、本の表紙扉を開けた所には主人公たちが
冒険する世界の地図が丁寧に描かれてます。

この地図に表記されている町や山、川、滝など全て著者の創作
なのですが、とてもアイスランドらしい響きの単語で書かれてるんですね。

例えば町の名前なら、〜ヴィク(現実にはレイキャヴィク)とか〜フョルズル
(現実にはイーサフョルズル)等、また滝は〜フォス(現実にはスコゥガフォス)等々。

もともとこの本を書くきっかけは、「アイスランドには古くから伝わるサガ(神話)が
あるし、今でも各地にはいろんな言い伝えが残っているのに、アイスランドらしい
世界観を持った現代に書かれたファンタジー小説がない」という所に着目して、
アイスランドの土地や伝説をベースにという部分を大事にして執筆したそう。

実際にアイスランドの自然エリアへ足をのばしてみるといまだにそういう伝説が
生きていそうな事を感じられる手つかずで荒々しい大自然が大半を占めている国。


DSCN0368.jpg

※国際空港ケフラヴィクすぐ近く。首都からも40分ほどでこんな風景が広がる。with Kristin


日本にも伝記や妖怪の話などはたくさん残ってますが、開発されてしまった
場所が多く、大昔からの伝説をそのままに感じられる場所って随分少ないか
身近な生活圏には無かったりしますよね。

アイスランドの首都レイキャヴィクは中心街から車で30分ほど走れば
そういう伝説を感じられるような土地になってしまうし、だいたいレイキャヴィクに
いても港の対岸に伝説が残る『エイシャ山』がいつも見えるので、東京に比べたら
ぐっとそういった自然が身近にある首都だと思われます。


DSC_4702.jpg

※首都中心街から、対岸にあるエイシャ山を臨む。


この本が原作の
映画がもし仮に制作される事になったら、
CGに頼らずとも大半が今もある自然を使って撮影出来そうな。

こんな大自然を身近に感じながら生活しているスナイ君達が
書いた小説は、ファンタジーといえどもどこかリアリティがあって、
説得力があるのでは…?と、何度もアイスランドに足を運んでいる
自分でも、今回の話を聞くとあらためて自然エリアの風景が
ファンタジーの舞台のように感じられた次第。


DSC_4650.jpg

※前日にあった新人賞の授賞式の様子が新聞の記事に。


と、ここまで紹介しておいて日本の皆様には大変残念なお知らせが。

この小説、全篇アイスランド語で書かれている為、
「是非読んでね!」とか気軽に言えないし、シバノも
読めないので感想らしい感想が書けないのでした。

アイスランドの人はとても英語が堪能なので、
「多くの人に読んでもらうには、最初から英語で書いては?」と
聞いてみたものの、約32万人の小国だからこそオリジナルの
言語はとても大事に思っているらしく、まずはアイスランド語ありきで
書くことに意味があると。

確かに、最初から英語で書いてしまったらアイスランドのサガや土地の
名前や人の名前などアイスランドならではの言葉の響きとか、確かに
この小説が大事にしている部分が薄れてしまいますよね。


iceland_etc_0076e.jpg

※インタビューした本屋Eymundsson。音楽フェス中には会場にもなる。


アイスランド語の本は英訳されるよりも、ドイツ語版や
デンマーク語版に翻訳される機会が比較的多いとの事。

てっきり、英訳版がアイスランド語版の次の選択肢としては
一般的なのかと思っていたので意外に思いました。


iceland_etc_0076f.jpg



「それにしても、2012の新人賞受賞はめでたい!素晴らしいね!」と
お祝いの言葉を言うと、「アイスランドで一年に出版される新刊は少ないから…」と
とても謙遜していたスナイ君ですが、それでも処女作が賞をとるのは素晴らしい♪

スナイ君自身も、今年の夏まで一年東京に留学してますし、
ご本人の翻訳での日本語訳版が出れば一番ベストですが…。

東京にも早稲田大学にはアイスランド語の授業がありますし、
そのあたりの学生さんの誰かが本格的にこの本の翻訳をして、
日本語でも読めるようになる事を願いつつ(他人まかせ)。

ゆくゆくは、ゲーム版を原作アイスランド・制作日本で
ファンタジーRPG出たら愉快だなあとか妄想は膨らみます。

ちなみに、同じ世界観で続編の予定は?という質問には「あるとの事」。
ハリー・ポッターやナルニア物語みたいに7冊とかになるの?という
質問には「そんなに長くならない」とスナイ君。

いち、アイスランド好き・ファンタジーファンとして読めるのを楽しみにしてます。

あ、あとアイスランドならではのモノだと思うので、
これから行かれる旅行者の方は是非記念のお土産にも♪


iceland_etc_0076g.jpg



余談その1。

アイスランドでファンタジー小説を書く人がいないわけではないらしく、
平積みされている小説の中にもファンタジー小説がありました。

ただ、こちらは特に「アイスランドらしい」わけでは無いとの事。
なるほど、アイスランド好きなら「カラスの目」というわけですね。


20756262.jpg



果てしなく余談その2。

現在、絶賛?プレイ中の『ドラゴンクエスト10』ですが、
先日行ったエリアが大変アイスランドらしい雰囲気で…。

思わず、アイスランドの溶岩地帯に行ったつもりでゲーム内記念撮影。
脱線してすみません…、まぁファンタジーつながりという事で♪


★アイスランド発の小説という事で、アーナルデュル・インドリダソン作『湿地』
遅ればせながら、読んでみようかと思っております。ミステリー好きだし楽しみ♪




シバノジョシア撮影・アイスランド写真販売中!↑北欧雑貨を取り扱っているAQUAVITさんでアイスランド写真販売中です。



JUGEMテーマ:オススメの本
ICELAND etc... - trackbacks(0)
☆2012アイスランド滞在録その15・『11/4(日)5日目、最終日シガー・ロス』

2012airwaves15a.jpg



2012・アイスランド滞在録。音楽フェスAirwavesもいよいよ最終日。

この日はオフヴェニュー会場にもなっているホステル"KEX"にて、
今年一番のフレッシュなアイスランドの人気者と言ってもいい
"Asgeir Trausti"君のインタビューを取材。

彼の年をきいて、インタビュアーの小倉さんともども
顔面蒼白?になりながら取材を終えたりしてます。

写真は、インタビューしたKEX奥のスペース。
左端のあたりに写ってる3人の真ん中が、Asgeir君。


2012airwaves15b.jpg



フレッシュな取材を終えて、KEX裏側に出ると
またレイキャヴィクの"モフりたくなるネコ"が。

今年はネコ的にも豊作であった…。

首輪してないので、ノラでしょうか、
それにしてもきれいなネコだけども。

そして、この日は今年のAirwavesの大トリと
言っても過言ではない"シガー・ロス"のライブが!

最後の大撮影に向けて少々午後はエネルギーをチャージ。


2012airwaves15c.jpg



そして、18時頃に到着したこちらの会場。

もともと競技などにも使える体育館がライブ会場のため、
他のメイン会場とも全く違う場所に位置します。

18時では少し早い到着なんですが、既に良い場所で
見ようという人たちの列が出来てました。


2012airwaves15d.jpg



そして、こちらは中の様子。

19時あたりには大分混み始め、実際にライブがスタートしたのは20時から、
皆様、大変お疲れ様でした。そして、大充実のシガー・ロスライブへ。

インタビューの様子や、シバノが撮影したシガー・ロスのライブショットは
後日、ICLEANDiaの小倉悠加さんブログに詳細レポートされますので、
シガー・ロスファンの皆様お楽しみに♪

というわけで、アイスランド滞在中からアップしていた
2012速報版のアップはフェス最終日の今回をもってひとまず終了。

フェスが始まって止まっていた昨年分のストックのアップに戻ります♪
北欧インテリアや料理等をライブ写真もあわせてご紹介。

その後に、2012回顧録として詳細と小倉さんのブログに
掲載しきれなかった今年分のオフショットなどをアップしていきます〜。


◆昨日から、小倉悠加さんの『ICELANDiaブログ』にフェスの詳細レポートが
 アップスタートしました!シバノが撮影した写真もライブショットからスナップまで
 もろもろ掲載頂いてます。ぜひご覧ください♪



シバノジョシア撮影・アイスランド写真販売中!↑北欧雑貨を取り扱っているAQUAVITさんでアイスランド写真販売中です。






JUGEMテーマ:ヨーロッパ
Iceland Airwaves2012現地滞在録 - trackbacks(0)
☆2012アイスランド滞在録その14・『11/3(土)4日目、見きれないラインナップ』

2012airwaves14a.jpg



2012アイスランド滞在録。
昨日よりは少し風が落ち着いたかな…とはいえまだまだ強風の週末。

音楽フェスAirwaves、土曜日は例年国内外のアーティストが
厚いラインナップを繰り広げるのですが、今年は本当にどこの会場に
撮影に行くかとても迷った一日。

本日は速報版でその中からいくつか写真をアップします。

写真は国立劇場HarpaでのTilburyライブから。


2012airwaves14b.jpg



6年前の07年Airwavesから唯一撮り続けているFor a Minor Reflacrion。

今年はマリーナホテルでのオフヴェニューを撮影してきました。


2012airwaves14c.jpg



そして、夜のメインヴェニュー撮影へ。

写真は、国立劇場HarpaでのSamúel Jón Samúelssonバンド。
このフェス中には珍しいホーンセクションばかりの大ファンクビッグバンド。


2012airwaves14d.jpg



ハルパから、会場をレイキャヴィク・アートミュージアムへ。

アイスランド組としてはSin Fangを撮影した後、
個人的にこの日の撮影の本命Dirty Projectoersまでの間、
USからのバンド(?)FRIENDSを撮影。

思いの外、面白いバンドで会場も盛り上がってました。


2012airwaves14e.jpg



この日の夜はフェス撮影後にこんな感じのバーも取材してきました。
(飲みに行っただけという気もしなくもないが…)

そのあたりはまた後日アップする回顧録にて♪



シバノジョシア撮影・アイスランド写真販売中!↑北欧雑貨を取り扱っているAQUAVITさんでアイスランド写真販売中です。




JUGEMテーマ:ヨーロッパ
Iceland Airwaves2012現地滞在録 - trackbacks(0)
☆2012アイスランド滞在録その13・『11/2(金)3日目、週末大暴風DAY!』

2012airwaves13a.jpg



2012アイスランド滞在録(速報版)。
音楽フェスIceland Airwaves2012の3日目は
記録(記憶?)に残る大暴風が吹き荒れた一日。

写真はオフヴェニューのMánabarにてBlágresiのライブから。


2012airwaves13b.jpg



今回、滞在中なんだか足げく通ってしまったヌードル屋・Núðluskálin。

一切、日本のラーメンからは遠い存在の麺ばかりですが、
あたたかい汁物が食べたくなるのはやはり年だからか…。


2012airwaves13c.jpg



音楽フェス、夜のメインヴェニュー取材。

金曜日は昨年のフェスには出演しなかった
地元レーベル"Bedroom Community"のナイトを集中取材。

写真はレーベルオーナーのヴァルゲイル・シグルドソン。


2012airwaves13d.jpg



ラストのBen Frostまでめくるめく現代音楽の宴。

全7アーティストの詳細は、
小倉悠加さんのブログ・ICELANDiaに近日アップ予定です♪



シバノジョシア撮影・アイスランド写真販売中!↑北欧雑貨を取り扱っているAQUAVITさんでアイスランド写真販売中です。




JUGEMテーマ:ヨーロッパ
Iceland Airwaves2012現地滞在録 - trackbacks(0)
☆2012アイスランド滞在録その12・『11/1(木)2日目、オフからメイン会場まで』

2012airwaves12a.jpg



アイスランド2012滞在録。
音楽フェスAirwavesがスタートして2日目の様子アップします。

前日深夜に現地入りした小倉悠加さんと行くIceland Airwavesツアーの皆様。
明けて11/1の朝からエアウェイブスの会場めぐり、シバノも同行させて頂きました。

写真は、急きょ入れていただいたシガー・ロスのアルバム
"Valtari"のアートワーク展を開催中のギャラリーにて。


2012airwaves12b.jpg



会場めぐり後、ツアーの皆様はシガー・ロスのスタジオツアーへ。

シバノは取材撮影のため、ノルディックハウスという会場へ向かい、
写真のAgent Fresco他、いくつかのライブを撮影してます。


2012airwaves12c.jpg



そして、夕方に少し休憩した後は夜のメイン会場へ。

フォトパスがあってもプレススペースでの場所どりは早い者勝ち。
たまには目当てのアーティストをしっかりと撮影するために、
早目に着いてノーマークのミュージシャンを撮影する事もあります。

こちらは、USからのPHANTOGRAMというバンド。
知らないミュージシャンのライブでも、意外と良くて
惹きこまれる事も、このバンドのライブはその一例でした。


2012airwaves12d.jpg



そしてこの日のラストは、昨年からブレイクして今年はアメリカでも
人気に火がついた"of Monsters and Men"のライブ撮影へ。

旬なバンドの勢いある演奏に会場中とても盛り上がりました。
彼らは来年初頭に東京公演も決定し、いまから楽しみです。

その他、色々なミュージシャンを撮影してますが、
詳細は小倉悠加さんのブログICELANDiaのレポートや、
後日こちらのブログでも回顧録として細かくアップします♪



シバノジョシア撮影・アイスランド写真販売中!↑北欧雑貨を取り扱っているAQUAVITさんでアイスランド写真販売中です。





JUGEMテーマ:ヨーロッパ
Iceland Airwaves2012現地滞在録 - trackbacks(0)
| 1/2 | >>